ありがとう
私決めていることがあるの。
この目が物をうつさなくなったら目に、そしてこの足が動かなくなったら、足に「ありがとう」って言おうって決めているの。今までみえにくい目が一生懸命見よう、見ようとしてくれて、私を喜ばせてくれたんだもん。いっぱいいろんな物素敵な物見せてくれた。夜の道も暗いのにがんばってくれた。足もそう。私のために信じられないほど歩いてくれた。一緒にいっぱいいろんなところへ行った。私を一日でも長く、喜ばせようとして目も足もがんばってくれた。なのに、見えなくなったり、歩けなくなったとき「なんでよー」なんて言ってはあんまりだと思う。今まで弱い弱い目、足がどれだけ私を強く強くしてくれたか。だからちゃんと「ありがとう」って言うの。大好きな目、足だからこんなに弱いけど大好きだから「ありがとう。もういいよ。休もうね」って言ってあげるの。多分誰よりもうーんと疲れていると思うので・・・。でもちょっと意地悪な雪絵はまだまだ元気な目と足に「もういいよ」とは絶対に言ってあげないの。だってみたい物、行きたいところいっぱいあるんだもん。今までのは遠い遠い未来のお話でした。

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