カトマンズ空港到着

  入国審査の瞬間はとても緊張するけれど、でも、すごく好きな時間です。訪れる国に住む方と初めて言葉を交わし、少し大げさかもしれないけれど、相手の方の心の世界と、自分の心の世界が初めて交わる瞬間のような気がするのです。もっと言えば、入港審査の方と、どんなことでも、笑顔をかわしたり、言葉を交わしたりしたいしたい・・・それがきっといい旅の始まりになるからとそんなことを思っている気がします。
 飛行機の中で、「こんにちは」と「ありがとう」のネパール語を覚えました。「こんにちは」は「ナマステ」これは朝でも、昼でも、夜でもあるいは、「またね」というときにも使える言葉だそうです。そして「ありがとう」は「ダンネバード」。
 少し低い天井の煉瓦でできた廊下を歩いて、入国審査の順番の列につきました。いよいよあと一人というときに、入国審査官が、顔も上げずに、前の人が投げつけるように、パスポートを渡しているのが見えました。ちょっと怖そう・・・どきどきしました。
 じっとお顔を見て、できる限り心を込めて「ナマステ」と挨拶して、パスポートをこれも心を込めて差し出すと、ちょっと顔を上げて、私の顔を見つめてくれました。もう一度心を込めて「ナマステ」。彼がにっこりと笑って、首をかたげるようにして「ナマステ」と返事をしてくれました。「やったー」すごくうれしい瞬間です。そして、パスポートの写真を私の顔の隣に持ってきて、右、左、右、左と比べるようにして、笑って、「ユー、カツコ?」と聞きました。「イエス、マイネームイズカツコ」「おー、スイートネーム」そんなふうに言ってくださいました。うれしくてうれしくて「ダンネバード」(ありがとう)と挨拶すると、またにっこりとわらって、たぶんだけど「言い旅をね」とネパール語で言ってくれました。今回もきっと素敵な素敵な旅になる・・・だって、私、もうネパールが大好きだもの。
 荷物を受け取って空港の外に出ると、そこには、小林さんが50往復もメールした相手のプーデルさんとプーデルさんが私たちの旅にぴったりだろうと選んでくださったガイドのギータさんと、そして、ネパールの国旗のシールの横に、”ようこそかっこちゃんの仲間たち”の文字が書かれた大きな紙を持った男の人が私たちを待っていてくれました。驚いていたら、彼が通称おがちゃん、小笠原さんでした。おがちゃんからはメールを前にいただいていました。「一ヶ月前からインドへ出かけて、かっこさんとはネパールでお会いします」とのことだったのです。インドへ宿も決めずに出かけられて、マザーテレサのところで2週間いたり、インドの小学校を見たりしながら、一月をすごして、ネパールに来られたとのこと。お目にかかってすぐに、「インドはどうでしたか?」と漠然とした質問をしてしまったのだけど、「ものすごくよくて、感激の毎日でした」とのこと、旅の途中におがちゃんのお話が聞けるのもうれしいなと思いました。バスに乗り込むときに、プーデルさんやギータちゃんが、私たち一人一人の首に、ダリアの花のレイをかけてくれました。赤や白のダリヤは日本のダリヤより小振りでけれど、とても美しかったです。大きなバスは運転席が右側にあって、日本と同じ、車は左側通行です。
 もう日はとうに沈んでいました。あこがれのカトマンズの街は、ちょっとエジプトのカイロの街を思わせました。自動車はひっきりなしに、大きなクラクションの音を立てながら通り、街はまだたくさんの人でにぎわっていました。どこがカイロと似ているのかはわからなかったけれど、一回目から一緒に旅をしている藤尾さんも「カイロみたいね」と言っていたから、やっぱりどこか似たたたずまいをしているのかもしれません。
 ギータさんは目が大きくて、髪が長く綺麗で、可愛い女の人です。「ギータと言います。よろしくお願いします。短大を出たあと、日本の京都に留学して、日本に3年すごしました。私は保育園と老人ホームを一緒にしたものをいつか作りたいと考えています。それはすごくいい考えだと思うのだけど、調べたところでは世界にはそれがないみたいです。でも、お年寄りは子どもたちを世話をするのが好きで、元気になれるし、子どもたちはおばあちゃんやおじいちゃんの昔話を聞くのが好きです。私は養護学校の勉強も日本にいたときにしたのです」ギータちゃんのお話はとても元気で、私たちもとても元気に楽しくなれるのでした。

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