一樹君の「カレーライスとサラダでした」

一樹君のお母さんが一樹君が太らないように苦心されているので、学校でも油の多い物のおかわりのときは「一樹君、これ油いっぱいだけどおかわりどうする?」と尋ねます。そうするとたいていは一樹君は「おかわりいりません」と言ってくれるので、ほっとします。
その日はカレーライスでした。一樹君はその日、体育や作業で体をたくさん動かしたので、カレーライスを多めに盛ったのですが、それでももっと食べたい様子でした。
「おかわりどうしますか?」と一樹君が私に言うので、「さっきたくさん盛ったからどうする?」と逆にたずねます。たずねているようでも、それは「おかわりはやめとこうね」と言っているのと同じに、たぶんなっていたのですね。
一樹君は、日記に「おかわりだめでした」と書いています。それから岡部先生のカレーライスは大盛りでうらやましいなあと思ったこと、それなのに岡部先生は、まだおかわりしていいなあと書いています。
けれど、一樹君は{おかわりだめ}と伝えた私たちのことを全然恨んだりしないで「うまいでした。おいしいでした」と書いています。なおいっそう一樹君の残念さが伝わります。(「たんぽぽの仲間たち」三五館より)
一樹君はコマーシャルが大好きです。コマーシャルばかりつぶやいていることが多いので、一樹君はコマーシャルのことで頭がいっぱいで、いろいろなことを考えるのがむつかしいのじゃないかと思われることがよくありました。シールが好きでつい、ほかの家のエアコン」のシールを取ってしまったことがあったときも、「何も分からない子やし、しかたがない」と言われたこともありました。でも一樹君が毎日書いてきてくれていた日記は、一樹君はこんなにたくさんのことを知っていて、考えていて、そしてこんなにやさしいのだということを教えてくれていると思います。
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